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人間・ロボット間の相互作用を伴う「合業」に関する戦略策定【2021(令和3)年度】

■目的
我が国では、ロボットの導入による生産性向上が期待されているが、人手に頼っている分野も少なくなく、それらの将来像としては、多数の専用ロボットで全自動化するよりも、人とロボットがそれぞれの得意技を合わせて協働することが提唱されている。
本事業では、人とロボットの協働の将来像を「合業」と位置付け、「合業」の技術シーズの調査、「合業」によって解決可能な市場ニーズの調査及び「合業」コンセプトの明確化を行うとともに、これを実現するための研究開発プロジェクトの進め方を検討し、研究開発と社会実装の戦略を策定した。

■事業概要と主な成果
1) 「合業」のコンセプトの明確化
シーズ調査とニーズ調査を行い、委員会とWGで検討して、次のような「合業」のコンセプトを整理した。
1-1)「合業」の概要と特徴
「合業」は、国際ロボット連盟が将来のロボットとして提唱している「受動的協働」(ロボットが人の動きにリアルタイムで応答する協働形態)の先を狙う協働形態で、ティーチングレスで人とロボットとが同一空間で同時に同一物に対して協働する。
1-2)技術シーズ
主に次の技術を用いて、「合業」を実現する。
「人間行動駆動」:協働の技術方式の1つで、人の動きがロボットの動きを決定する方式
「動作リテラシー」:ロボットが内蔵する知識で人と同じように動くことを可能とする技術
「意思疎通」:人とロボットが相互に、少し先の相手の動きを予測する技術
1-3)市場ニーズ
製造業、サービス業、農業などの分野で、①多種の反復性の低い作業、②大物や重量物への対応、③人を補助することで生産性や安全性が向上する作業へのニーズが大きい。
1-4)安全性
人とロボットの間で力の相互作用が伴うために、危機回避技術や制度面で新たな安全対策が必要になる。

2)階層制御
「合業」を実現するため、ロボットの制御OSのアーキテクチャとして、4階層の合業階層制御モデルを提案しました。具体的には、汎用性のある「人間行動駆動」や「動作リテラシー」を独立した層にすること、情報処理の高速化のために、物理層のすぐ上の層でフィードフォワード制御とフィードバック制御を行うことを提案した。

3)今後の研究開発プロジェクトの進め方
今後、人とロボットのインタラクションデータを収集するために、サイバーフィジカルシステムの VR 環境を活用して研究を進めること、開発した技術を検証するために「合業用ワイヤー懸垂ロボット」を用いることを提案した。

人間・ロボット間の相互作用を伴う「合業」_2021年度成果.pdf

■委託事業元
 (一財)機械システム振興協会

■参考資料:リーフレット
 2021(令和3)年度_人間・ロボット間の相互作用を伴う「合業」に関する戦略策定.pdf